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国産スマホの参入余地は?ケニアのスマートホン市場の現在地!

更新日:2023年11月7日

10月30日、ケニアでは初となるスマートホンの国内組み立て工場(当社11月3日記事)が始動した。ルト大統領の肝いり政策として、『国産スマホ』の製造に舵を切ったが、肝心となるのはユーザーに選ばれる製品を,どのように提供できるかどうかだ。


ケニア市場では長らく中国の格安メーカーが市場で存在感を発揮してきた。中国メーカーTranssionの傘下にあるTechno、Infinix、Itelの三ブランドが競争力を高め、特にTechnoは低価格と積極的なPR戦略も相まって、多くのユーザーを獲得している。


ただし、最新の市場シェア情報を確認すると、これまでの中国ブランド一強という状況から変化があることが分かる。本記事ではケニアのスマートホン市場の概要を基に、各国ブランドの現在地および国産スマホの展望について紹介する。


ケニアのスマホ普及率は58.3%


ケニア通信庁(Communications Authority of Kenya)の第三四半期セクター統計レポートによれば、2023年3月時点のケニアにおけるスマートホン利用台数は約2,949万台である。また、ケニアの人口から計算した場合、ケニアにおけるスマートホン普及率は58.3%となる。


富裕層などはスマートホンを複数台持っているため、単純にケニア人の58%が所有している訳ではないが、おおよそケニア人の半数以上がスマートホンを持っていると考えられる。


ケニアでは既に広く知られているように、モバイルマネーやデジタル決済、UberやBoltといったP2Pサービスが広く普及している。そのためスマートホンを購入することにより、各種金融サービスや所得を得られる機会にアクセスすることが可能となる。


一部ではスマホを持っている人と持っていない人の間で機会の格差が生じていることが問題視されるが、現状では最新機器を使いこなすことが困難な年配者やインフラが十分に整っていない地域の住民を除き、多くのケニア人がスマートホンを手に入れることを望んでいる。


市場シェアではSamsungがトップシェア


ケニア市場は長らく価格重視と認識されている。たとえばTechnoは余計な機能や容量を削ぎ落した格安スマホを普及し、今より物価が安かった5年ほど前はキャンペーンと併せて5000シリング(約5000円)以下で購入が可能な時もあるほどだった。


これまでスマートホンを持ったことがない人々へ間口を広げたことについて、Tecnoの貢献が大きいと言わざるを得ない。


しかし、こうした状況で巻き返してきたのが、韓国メーカーのSamsungだ。人気モデルのGalaxyを投入し、廉価版から折り畳み可能な最新版まで各種製品を提供している。


Statistaによると、2022年ケニアのスマートホン市場シェアはSamsungが26%を占め、トップシェアとなっている。同データプラットフォームでは明記されていないが、市場のプレーヤーを考慮すると、2位で23%を占めているのはTecnoとみていいだろう。


また、ビィ・フォアード社が同年に行ったオンラインアンケート調査でも、トップはSamsungで、2位がTecnoだった。


中国ブランドとSamsungを比較した際、やはり注目すべきは価格だ。ローエンド製品の価格はおよそ1万5000シリング(約1万5000円)、ハイエンド製品の価格はおよそ20万シリング(約20万円)だ。


価格だけみれば、Tecnoが提供するローエンド製品はおよそ9500シリング(約9500円)で、一見すると価格競争力があるようには見えない。


それでもシェトップに立つ要因としては、これまで低価格重視で基本的な機能を持つスマートホンを好んでいたユーザーが、多くのスマートホンアプリを使う機会が増したことで、次第に機能性を重視するようになったことが考えられる。


またIDCはサムスンが、、スマートフォンや家庭用ソーラーシステムの割賦販売を行うM-KOPAのプラットフォームを通じ、ローンを活用することで製品を購入する機会を提供したと指摘する。


今後は中国ブランドがどのようにしてシェアの奪還を試みるかに注目が集まるが、ケニアのスマートホン市場ではユーザーの選好に何らかの変化が生じている可能性があるといえる。


今後の市場動向


新たにケニア国産スマホが登場したスマートホン市場だが、今後の動向のカギを握るのはローンサービスとのアクセスだろう。


中国との合弁会社(EADAK)設立により、国産スマホは7499シリングという、国内市場の最低価格帯で販売可能となった。より多くの人々にデジタル機会を提供することを掲げてきた政府としては、ハードルを一つ越えることに成功したといえる。


次に重要となるのは、手元に購入資金がないユーザーにどれだけ与信管理をしつつリーチできるかだ。


理想的なモデルとしては、他社の借り入れ・返済状況のデータを信用スコア化し、適切な融資を行い、スマートホンを購入後にユーザーが収入機会を増大し、無理なく返済が可能となることである。


民間レベルでは既に実践されていることであり、サファリコムのバックアップを受けているEADAK社ならば、このようなオペレーションを行うことは可能だろう。


安くてそれなりな製品が適切なローンサービスと組み合わされたならば、同社の製品が国内で覇権をとっても不思議ではない。大統領がバックアップする利点も相まって、今後どれだけのユーザーを得るかに注目が集まる。



(イメージ画像はオーダンより)

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