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執筆者の写真長谷川 将士

ナイジェリアでサン・アフリカ社が22億ドルのソーラー発電案件を締結

更新日:2023年11月29日

ナイジェリア政府は11月17日、電力省を通じてサン・アフリカ社と22億ドル(約3280億円)の太陽光発電契約を締結したと発表しました。


サン・アフリカ社は米国を拠点とする再生可能エネルギー事業会社で、これまでアフリカ諸国にソーラー発電の設置を行ってきました。


一例としてはアンゴラ南部で20億ドル規模のソーラー発電所を建設したり、ナイジェリアで分散型発電サービスを提供しています。


バヨ・アデラブ電力相によると、同社は961メガワットピーク(MWp)の太陽光発電インフラと455メガワットアワー(MWh)のバッテリー蓄電システムの納入を約束しました。


何人くらいに電力が行き渡るのか?


22億ドルを投じる大型ソーラー発電案件ですが、実際にはどれくらいの人々に電力が行き渡るのでしょうか?以下では蓄電が満タンになった455メガワットアワーを例にしてみましょう。


先ずメガワットアワーとは、一時間に流れ続ける電力量(1メガワット)のことであり、主に消費電力量として求められる単位です。


京都大学大学院の研究チームが2018年に公開した論文によると、推計ではナイジェリアの一人当たり電力使用量(月間)は、都市部で39キロワットアワーです。これを一日あたりに計算すると、1.3キロワットアワーになります。


ちなみに環境省によれば、2020年の日本における一世帯あたりの電力使用量(年間)は4,258キロワットアワーです。一人当たりの電力使用量に換算すると、一世帯は約2.49人(2020年、国立社会保障・人口問題研究所)なので、4.69キロワットアワーになります。


今回の案件では455メガワットアワー=45万5千キロワットアワーですので、単純計算としてはナイジェリア都市部住民の約35万人に電力を供給できることになります。


もちろん、ソーラー発電効率(一般的には20%程度)や送電ロス等も考慮すると、実際の電力供給可能人数は35万人よりも少ないと思われます。


しかし、再生可能エネルギーを用いて新たにこれだけの人数に電力を供給することを考えると、やはりプロジェクトの規模感やインパクトの大きさに驚かされます。


ナイジェリアの再生可能発電事情


アデラブ電力相によると、融資パートナーであるING銀行とシティ銀行は、米国輸出入銀行の支援を受け、数年にわたり最大100億ドルを拠出することでサン・アフリカとの取引を支援するとしています。


国際再生可能エネルギー機関によれば、2021年のナイジェリアにおける再生可能エネルギーの発電量は9,318ギガワットアワーでした。


しかし、このほとんどは水力発電によるもので、ソーラー発電による発電量は102ギガワットアワー、全体の約1%程度にすぎません。


サン・アフリカが今回のプロジェクトによって発電所を設置したとしても、0.455ギガワットアワーが加わるに止まります。


これらの背景を考えると、再生可能エネルギーによる発電を進めて気候変動対策を進めたいナイジェリアは、財政状況を考慮しつつも各所から借り入れを増やし、開発を急ぐのではないかと思われます。





(イメージ画像はPIXABAYより。© dMz



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