アフリカでスタートアップ投資がブームになって以来、これまでナイジェリアは最大の投資先として注目を浴び続けてきました。しかし、2023年は世界的な不確実性の高まりやそれに伴う資金引き上げの影響を受け、投資金額が激減しました。
アフリカスタートアップ界隈では、いわゆるBIG4(ナイジェリア、南ア、ケニア、エジプト)が主要な投資先として認識されていますが、中でもナイジェリアはそのトップの座を保持し続けてきました。
本記事ではDisrupt Africa等が公開した最新レポートに準拠しつつ、同国の現状をご紹介します。
資金調達拡大から反転
アフリカスタートアップを分析するレポートには、特に投資件数や投資金額を計測する上でいくつか定義が異なっています。以下の内容では上述のレポートの定義に従い、投資金額についてはエクイティ投資とデット投資を合算した値を用いています。
2022年には世界的な投資縮小の影響に逆らい、アフリカスタートアップ界隈では資金調達額が拡大していました。しかし、2023年にはアフリカ域内においても資本不足が影響し、資金調達件数および金額が2016年以来初めて減少しました。
資金調達したスタートアップの数は、2022年の633社から2023年には406件へ減少し、調達額は約33億3000万ドルから約24億1000万ドルに減少しました。
ナイジェリアの『トップ陥落』
個別の国に注目して、先ずはBIG4(ナイジェリア、南ア、ケニア、エジプト)の資金調達件数から見ていきましょう。各国の件数は以下の通りです。
1.ナイジェリア:124件
2.ケニア:62件
3.南ア60件
4.エジプト:46件
投資件数では依然としてナイジェリアがトップに立っています。これは、そもそものスタートアップの母数が多国よりも多いことが理由の一つとして考えられます。
次に資金調達額を見ていきましょう。各国の調達額は以下の通りです。
1.ケニア:約6.7億ドル
2.エジプト:約5.9億ドル
3.南ア:約5.1億ドル
4.ナイジェリア:約4億ドル
調達額に関してはBIG4の中でも違いが生じており、ナイジェリアやエジプトでは前年よりも減少しましたが、ケニアや南アではむしろ調達額が増加するという結果になりました。
特にナイジェリアの調達額の変動は激しく、2022年の調達額である約9.8億ドルから半分以上も減少しています。この要因の一つとしては、ナイジェリアの主要投資分野であるフィンテック分野での調達額が域内的に減少したことが考えられます。
上述のレポートではナイジェリアにおけるエコシステムが景気悪化の影響を緩和しようと活発にスタートアップを支え続けとしています。
この先ナイジェリアのトップ復活はありえるでしょうか。今後の動向に注目です。
(イメージ画像はUnsplashより。©Markus Winkler)
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