近年、日本企業のアフリカ進出が注目を集めています。世界で最も変化が激しくダイナミックなアフリカ市場ですが、求められるリスク管理の水準が高かったり、現地でのネットワーク作りが進まない場合など、新規事業作りのハードルが高く感じる時もあるでしょう。
そんなアフリカで新規事業開発に関心がある企業にピッタリな事業が『J-Partnership』です。本記事では単なる補助金事業に止まらない、ネットワーク構築や広報までカバーするユニークな『J-Partnership』の特徴と注意点、そして弊社が可能なサポートをご紹介します!
J-Partneshipの補助金の特徴
『J-Partnership~製品・サービス開発等支援事業補助金~』は、経済産業省が「技術協力活用型・新興国市場開拓事業費補助金(社会課題解決型国際共同開発事業(製品・サービス開発等支援事業))」として実施しているものです。
J-Partnership事業ではアフリカなど新興国・開発途上国の社会課題の解決を目的として、日本企業を対象にビジネスプランと補助事業計画を公募します。
採択された企業については、事業開発にかかる費用に対して補助金を提供するだけなく、多様なビジネス支援が実施されます。
J-Partneshipの特徴は大きく4つあります。
アフリカにおける補助金額で最大級!
スタートアップも応募可能!
人件費や備品費の費用計上が可能!
心強い現地ネットワーク構築支援!
1. アフリカにおける補助金額で最大級!
日本企業が新興国で行う、製品・サービスの開発等に必要となる経費を一部補助する事業で、重点地域としてアフリカが明記されています。実際に、昨年度(令和4年度)の採択企業をみると、10社中8社がアフリカ地域を対象にしています。
採択された企業の製品・サービスの開発や実証・評価など、事業開発にかかる費用に対して1社につき最大2,000万円(大企業の場合は、1社最大3,000万円)の補助金を提供します。これはアフリカでのビジネス実証に使える補助金額としては最大級の規模になります。
また中堅・中小企業9社程度、大企業1社程度が想定されており、補助率は中堅・中小企業が2/3、大企業が1/3です。
2. スタートアップも応募可能!
昨年度の採択企業から紹介すると、株式会社Dots for(ドッツフォー)はセネガルでメッシュネットワーク(無線LANルーターを複数台設置し、網目状に電波を張り巡らせることで、電波が届くエリアを効率良く広げられる仕組み)を用いて、インターネット通信網が未発達な地方農村でインターネット常時接続と各種オンラインサービスを実現するための実証プロジェクトを行っています。
また、弊社が採択、実施を支援した株式会社Degasはガーナで農業協同組合「Degas Farmer Network (DFN)」を形成し、ハイブリッド種子、肥料、作物保険などの高品質の投入物に融資を提供するための展開可能性を検証する実証プロジェクトを行いました。
両社は今ではアフリカビジネスをリードする日系スタートアップであり、資金調達やビジネスコンテストでの成果により注目度がさらに増しています。
これらの事例のように採択される企業は、①新興国・開発途上国の社会課題を解決し、新たなビジネスを作っていく企業、②現地パートナーと共に事業拡大できるビジネスプ
ランを持つ企業、③グローバルな事業展開に強い熱意を持つ企業、の3点を満たした企業であり、公募の基準となっています。
3. 人件費や備品費の費用計上が可能!
J-Partnershipでは、大きく分けて3つの費用を計上できます。一つ目は人件費で、補助事業に従事する者の作業時間に対する費用になります。新規事業に携わる社員の給与が補助金の対象になるので、自社で実証事業をするより費用を抑えることが可能になります。
二つ目は事業費で、旅費やシンポジウムの開催費、備品の費用になります。車両や携帯電話など汎用性の高い備品は購入できませんが、実証に必要な機械類や消耗品費を購入することができるので、実証後、スムーズに事業開始することが可能です。その他、会議費、借料、外注費、印刷製本費、補助員人件費などが計上可能です。
三つ目は委託費で、事業者が直接実施することができないもの又は適当でない他の事業者に作業などを行わせるために必要な費用です。現地の関連会社に委託することも可能ですので、比較的フレキシブルな費用計上が可能です。
4. 心強い現地ネットワーク構築支援!
本事業で採択された企業は補助金の供与だけでなく、現地企業や政府とのネットワーク作り、経産省や関係機関からのサポート等の事業化支援が受けられます。
実施予定国によっては、先方の政府・当局との種々の許認可に係る折衝や現地パートナー団体との折衝等において、UNIDO(国際連合工業開発機関)東京投資・技術移転事務所(東京事務所)とその海外ネットワークの支援が可能となる場合があります。
一例としては、UNIDO 東京事務所が、現地にアドバイザーを設置しているエチオピア(ウガンダ、ルワンダ、ブルンジもカバー)、アルジェリア(チュニジア及びモーリタニアのビジネスセクターもカバー)、セネガル(コートジボワール及び近隣の仏語圏諸国もカバー)、及びモザンビークです。もし進出予定国が含まれているならば、チャレンジしてみる価値は十分にあるでしょう。
また、海外向けの情報発信(英語)に関しても支援を受けられるため、海外や途上国にあまり慣れていない企業にこそ活用していただける部分が大きい事業ともいえます。
J-Partnership事業の注意点!
一方で、J-Partneship事業の相談をこれまで受けてきましたが、その中で注意しておくべき点を3つご紹介します。
1. 日本に本社を持つ企業のみが対象!
J-Partneship事業に応募できる企業は、日本に設立された株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、有限会社のいずれかの法人格を有する企業です。
アフリカ現地で活動しているけれど、現地法人もしくは海外での法人が活動主体となっている場合は応募できないので注意が必要です。
2. 単年度予算の為、実証期間が短い!
J-Partneship事業は単年度予算の為、1年で事業検証を終える必要があります。具体的には補助事業の交付決定日から2023年1月31日までに支払いが完了した経費が補助金の対象となります。
交付決定日が例年通りだと7月頃になるので、7月〜1月の最大7か月間で事業を計画する必要があるので、注意が必要です。
3. 精算作業が煩雑すぎて覚悟が必要!
補助金なので事業終了後に使用した費目の証憑を提出する必要があります。これはただ領収書を出せば良いわけではなく、1費目に対してだいたい6〜7種類の証憑が必要になります。
例えば、消耗品費として何かを購入する場合、仕様→相見積り→発注→納品→検収→支払のフローに従ってそれぞれの書類を整理する必要があります。慣れている人にとってもこの作業は煩雑であり、かなり時間を要しますのであらかじめ覚悟しておいた方がよいです。
当社のサポート内容
AXCEL AFRICAではJ-Partnershipの採択及び事業運営のサポートを実施しています。
弊社代表の横山は、補助金の前身となる「飛び出せJapan」名義で実施されていた時から事務局の審査員として関わっており、アフリカ諸国を対象とした10社以上の支援実績があります。
また、昨年度も採択企業の応札支援からバックエンド業務を一手に引き受けました。
新しくアフリカ市場に進出を希望されている企業やスタートアップの方は、まずはぜひ弊社までお気軽にご相談ください。
応募書類の作成、会計処理、報告書作成といったバックエンド業務から、実証事業のマネジメントやマーケティング・販売といったフロントエンド業務まで、幅広く対応いたします。
具体的には下記の支援が可能です
アイデアを補助金の性質に合わせてストーリー作成・提案書作成・見積もり案作成
ビジネス展開サポート(ビジネスコンサルティング、調査支援など)
補助金の実施サポート(レポート作成、精算補助など)
補助金を検討されている方は、まずはぜひお気軽にご相談いただけますと幸いです。アフリカ市場進出にお力添えできれば嬉しいです!
Webサイトのお問い合わせからご連絡ください。
気になる今後のスケジュールは!?
今年度のJ-Partnershipについての詳細はまだ公表されていません。
ただ、令和5年度「技術協力活用型・新興国市場開拓事業(社会課題解決型国際共同開発事業)」に係る補助事業者(事業実施者)は既に決定していることから今年度も実施される見込みです。
昨年度(令和4年度)は2022年5月10日に公募が発表されましたので、今年度も同様のスケジュールが想定されます。今年度の最新の情報は、J-Partnership事務局HPよりご参照ください。
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