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アフリカ側から見るCOP28、重要ポイントはどこ?

13日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれていたCOP28(第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が、全会一致の合意をもって幕を閉じました。


今回のCOP28では歴史上初めて「化石燃料からの脱却」を合意文書に盛り込んだことが注目されています。


これまで人類は石炭や石油といった化石燃料に大きく依存しながら経済発展をしてきましたが、温室効果ガスの輩出により気候変動の影響が増大する昨今、各国が脱化石燃料の必要性について合意したことは画期的です。


もちろん、この合意だけでは対策は十分ではありません。BBCは合意について、「2015年のパリ協定以来の大きな前進」と評価した一方、今世紀の世界平均気温の上昇を1.5度以下に抑える目標を達成できるかについて、「その可能性はほとんどない」としています。


また、一部報道では、合意が化石燃料の段階的廃止まで踏み込めなかった点や、日本や米国が代替エネルギーとして原子力発電所を3倍に増設する案に賛同した点について問題提起をしています。


アフリカ側の視点は?


気候変動対策として欠かせないことは、当事者の声、特に被害が増大している人々の声を聞くことでしょう。アフリカは歴史的に、世界で最も炭素排出量が少ないにも関わらず、最も気候変動の被害が大きい地域として、一定の発言力を有しています。


以下では2日に行われたハイレベルセッションである、「アフリカ・デー」の内容をご紹介します。テーマは「アフリカにおける気候変動資金とグリーン成長の拡大」です。


国連アフリカ委員会のクラバー・ガテテ事務局長は、アフリカ大陸の豊富な再生可能資源を活用し、必要不可欠な鉱物を加工することを優先しようと提案しています。


アフリカ大陸にはコバルトやリチウムといった、再生可能エネルギーの利用を促進させるために必要な原材料が豊富に埋蔵しています。現在のアフリカ各国のトレンドとして、資源をそのまま輸出するのではなく、加工して付加価値を上げるための議論が進んでいます。


一部では資源獲得競争の様相を呈していますが、ボツワナでダイアモンド加工産業が成功した事例がある通り、今後新たな動きが出るでしょう。


さらにガテテ氏は、アフリカの炭素クレジット市場を発展させ、気候変動対策に必要な資金を得ることにも言及しています。最も多くの温室効果ガスを排出してきた先進国グループからアフリカへの対策資金の拠出が滞っている現状、自ら必要な資金を確保する選択として、アフリカにおいて炭素クレジットは有効でしょう。


食糧の安全保障の観点


アフリカ開発銀行のアキンウミ・アデシナ総裁は、「アフリカが農業をどうするかによって、世界の食糧の将来が決まる」と発言し、「アフリカは二度と食料を乞食することはありません」と決意を述べました。


アフリカは人口増加に伴い食糧輸入に歯止めが効かず、輸入量は年々増大しています。たとえばウクライナ戦争勃発時にはロシアやウクライナからの小麦が入ってこなくなり、エジプトなどの国では混乱が起きました。


また、近年ではアフリカ北東部の地域を中心に、サバクトビバッタの大量発生や干ばつによって緊急支援が必要となりました。


アフリカにとって農業生産の振興は喫緊の課題であり、1月に開催したダカール・サミットをきっかけに、これまで農業・食料セクター向けに720億ドルを動員しています。


グリーン産業の振興と資金確保


セネガルのマッキー・サル大統領は「…アフリカには、単なる原材料の貯蔵庫ではなく、グローバルなバリューチェーンの一部となるための開発と工業化の正当なニーズがある。若い人たちに仕事を提供するために、私たちは付加価値を創造しなければなりません」と発言しています。


サル大統領はグリーン産業を通じて安価なエネルギーを調達できるようにする必要性を主張しており、パートナーとなる先進国からの資金拠出の必要性を訴えています。


この点は、アフリカ連合委員会のムーサ・ファキ・マハマット委員長が、アフリカ大陸には気候変動の影響と闘うための資金が「少なすぎる」と不公平を糾弾した理由と重なります。


アフリカ側では気候変動対策は新たな産業を打ち立てる機会として活用しようという考えがあります。しかし、そのためには資金や技術など、自前ではどうにもできない要素が深く絡んでいます。


国際社会全体に気候変動対策が求められる中、原材料を握るアフリカ側の存在感は大きくなるでしょう。これまでのような貿易パートナーとは異なる、グリーン産業振興を共にするパートナーが出てくるとすれば、それはどのような国になるでしょうか?日本から好事例が生まれることを期待しています!


(イメージ画像はXのアフリカ開発銀行アカウントより。©AfDB_Group


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