世界的な旅行会社のロンリープラネットは11月5日、「2024年に訪れるべき都市」の第一位にナイロビを選出した。これはパリ(フランス)、モントリオール(カナダ)、モスタル(ボスニア・ヘルツェゴビナ)、フィラデルフィア(アメリカ)などの有名都市を抑えての受賞だ。
ナイロビが魅力的な都市であることは間違いないが、一方では日本人旅行者を中心に「アフリカ三大凶悪都市」との風評が広がっており、ナイロビを訪れた旅行者の体験記の多くは、いかに危なそうだったか、犯罪に遭いそうだったかという話が強調されて描かれている。
SNSでは今回の選出を喜びつつも、「本当にナイロビでいいのか?」という戸惑いを表すケニア人のコメントが目立つ。果たしてナイロビは「訪れるべき都市」なのか、それとも、警戒すべき危険都市なのか?
ロンリープラネットが注目するナイロビの素晴らしさ
ロンリープラネットがナイロビを選んだ理由として、ユニークさが挙げられる。
同社によればナイロビは、「世界的な文化の中心地としての地位を確立しつつあり、見逃せない旅行体験で熱狂している」とし、ナイロビでしか味わえないクールな雰囲気や都市と国立公園が近接することで、忘れられない旅の思い出ができるはずだと評している。
ケニアのルト大統領は観光業を積極的に推進しており、『マジカル・ケニア』という標語を掲げ、その独特の魅力を世界に伝えることに力を入れている。
地元メディアの取材で同大統領は、「ナイロビほど素晴らしい場所は世界中どこにもありません。私たちは、忘れがたい美しさと魔法に満ちた比類ない旅行体験を提供する用意があり、熱望しています」とコメントを残している。
ナイロビでは近年、芸術や文化施設、レストランやカフェが次々にオープンし、見所が続々と増えている。さらに、若者の活力と挑戦で渦巻き、活気に満ちた都市でもある。
ロンリープラネットが指摘するように、こうしたダイナミズムは世界でもナイロビでしか味わえないだろう。
ナイロビの何が危険か?
ロンリープラネットが説明するように、ナイロビには多くの魅力がある。それでは、主に日本人旅行者の間でささやかれるよう「凶悪都市」という風評はどうなのだろうか?
ケニアで居住経験があり、直近でも渡航した筆者は、旅行者が遭遇するトラブルのほとんどは安全情報を確認し、適切な行動をとれば防げるものだと認識している。
ケニアで最近見聞きしたトラブルとしては、空港やショッピングモールの中で写真を撮っていたところ、警備員に咎められ、拘束されるというケースだ。
ケニアではイスラム過激派組織によるテロが発生した経緯から、安全管理のため公共の建物内外での撮影はほとんど禁止されている。判断に困ったら、近くの店員や警備員に予め撮影の可否を聞いてみるといいだろう。
もちろん、撮影をネタにして賄賂を要求する警備員側も違法であるが、背景を知らずにいれば、こうしたトラブルに巻き込まれやすいことは言うまでもない。
その他、カフェやレストランで荷物を置いたままトイレから戻ってきたら荷物が無くなっていたり、フレンドリーに挨拶してきたケニア人グループと会話をしていたらいつの間にかスマートホンが抜き去られていた事件が頻発している。
日本にいる時と同じ感覚のままでいるならば、こうしたリスクには対処できないため、大使館や現地在住者のブログなど、複数の情報元を確認して安全対策をすることが求められる。
また、何かトラブルに遭った際に心配する家族や友人も多いだろう。外務省が提供する『たびレジ』の登録を強くおすすめしたい。
リスクと魅力が混在するナイロビ
まとめるならば、他の多くの都市と同じように、ナイロビでは犯罪にあうリスクがある。特に初めて訪れる旅行者にとっては、可能な限りの情報元から、最新の状況を理解し、適切な安全管理が求められる。
一方で、ロンリープラネットが高く評価したようなユニークさ、ダイナミズムにあふれたナイロビを訪れる価値は十分にある。
特に、お洒落なカフェを楽しみたい方や、文化・芸術方面に関心がある方は、きっとナイロビを気に入るだろう。
2024年、一度はナイロビを訪れてみることを検討してみてはいかがだろうか?
Comments