IMFは10月10日、サブサハラ・アフリカ地域における「地域経済見通し」を発表し、2023年の実質GDP成長率が3.3%と、二年連続の減速を予測した。また、2023年4月の前回発表から0.3ポイントの下方修正となった。
高いインフレ率と金利が成長を減速
IMFは域内における成長の減速について、ウクライナ情勢によるインフレショックが世界中の金利上昇を引き起こし、国際的な需要の減速、高いスプレッド(利回り格差)、現地の通貨安をもたらしたと指摘する。
域内経済に注目すると、インフレ率が依然として高すぎており、14カ国で二桁を記録し、ほとんどの国でインフレ目標を上回っている。
さらに、借り入れ金利が高く、資金繰りが逼迫しており、域内の低所得国の半数が高いリスクに直面しているか債務不履行の状態にある。
ただし、IMFは今年の第2四半期の経済活動が改善している推計を提示し、サブサハラの回復はすでに始まっている可能性があると指摘する。
多くの国ではインフレ率が徐々に低下し、財政状態が徐々に持続可能な状態に向かっていることから、2024年には域内諸国の5分の4が成長を回復し、域内の成長率が4.0%まで上昇すると予想している。
資源国と非資源国間の成長乖離が顕著
域内の経済成長率は資源国と非資源国で対照的な状態となっており、資源国はコモディティ価格の低下の影響から、2023年の2.6%から2024年の3.2%で推移する見通しを示している。
対して、非資源国では消費と投資の両方が下支えし、5.3%から5.9%へ高い推移で成長すると予想される。
この見通しについてIMFは、非資源国がより多様化した経済に支えられて回復力がある一方、資源国では外部ショックの影響が大きく、多様性に乏しい構造が投資家の信頼と活動の重荷となり、短期的には成長見通しを弱め、長期的には潜在的な成長を損なうことになるためと説明する。
この成長パターンは2015年のコモディティ価格ショック後に顕著となっており、資源国と非資源国間で成長が乖離する傾向がより定着している。
国別では高成長率を維持する国も
成長率を国別にみると、資源採掘分野が成長を牽引するモザンビークで7%と最も高く、コンゴ民主共和国が6.7%、コートジボワールが6.2%、ルワンダが6.2%と高い予測となっている。
主要国では、エチオピア6.1%、ケニア5%、ナイジェリア2.9%だった。
南アフリカ共和国では電力不足の影響が予想より小さかったことと、サービス部門が引き続き好調であることから、上半期の成長率は予想を上回ったが、成長率は0.9%に留まると見込まれる。
(画像は公開されたIMFレポートより抜粋)
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