
アフリカ開発銀行(AfDB)が「アフリカのマクロ経済パフォーマンスと展望(Macroeconomic Performance and Outlook, MEO)2025年版」を発表しました。
本レポートでは、アフリカの経済成長の現状と見通し、主要な課題、そして政策提言について詳細に分析されています。
本記事では、2025年以降のアフリカ経済の展望を詳しく解説し、今後の発展のために必要な要素を深掘りします。

2024年のアフリカ経済:緩やかな回復も依然として脆弱
1) アフリカ経済の現状
2024年のアフリカの実質GDP成長率は 3.2% で、前年(2023年)の 3.0% からわずかに上昇しました。
しかし、経済成長のスピードは依然として遅く、アフリカ大陸の持続的な発展には最低 7% の成長が必要とされています。
特に、急成長が求められる新興市場や、人口増加率の高い国々では、この水準を大きく下回っており、経済の停滞が懸念されます。
2) 成長の要因
エネルギー産業の回復:ナイジェリアやアンゴラなどの石油・天然ガス産出国では、エネルギー価格の安定が成長を支えました。
観光業の回復:エジプトやモロッコを中心に、観光客数の増加が経済にプラスの影響を与えています。
農業生産の拡大:特にサブサハラアフリカでは農業技術の向上とインフラの整備が進み、生産性が向上しました。
民間投資の増加:一部の国では、外資企業の投資が拡大し、産業成長の一因となっています。
3) 成長を阻害する課題
インフレの高止まり:2024年の平均 18.6% のインフレ率が続いており、生活コストが上昇しています。
財政赤字の拡大:GDP比 4.6% の財政赤字が各国の財政運営を圧迫しています。
債務負担の増加:GDP比60%以上の公的債務が問題視され、特に対外債務の返済が課題となっています。
地政学的リスク:地域紛争や政治的な不安定要素が、投資環境を悪化させています。
気候変動の影響:干ばつや洪水が農業生産を圧迫し、食料供給にも影響を及ぼしています。
2025年の成長見通しと地域別の成長予測
2025年のアフリカの実質GDP成長率は 4.1%、2026年には 4.4% に上昇する見込みです。これにより、アフリカはアジアに次いで世界で2番目に成長の速い地域となる可能性があります。
東アフリカ(5.3%成長):南スーダンの石油生産回復、ルワンダのサービス業拡大。
西アフリカ(4.6%成長):ナイジェリアの石油産業回復とセネガルの天然ガスプロジェクト。
北アフリカ(3.9%成長):エジプト、モロッコ、リビアの観光業と工業生産の回復。
中部アフリカ(4.0%成長):コンゴ民主共和国の鉱業成長が牽引。
南部アフリカ(3.0%成長):南アフリカの産業回復と輸出の増加。
主要な課題とリスク要因
1) インフレ圧力の継続
2024年のアフリカの平均インフレ率は18.6%でしたが、2025–26年には12.6%へと低下する見込みです。
しかし、エジプトやナイジェリアのような主要経済国では依然として高インフレが続き、生活コストの上昇が国民経済に悪影響を及ぼす可能性が高いです。
2) 財政赤字の拡大と債務問題
アフリカの財政赤字はGDP比4.6%に達しており、債務負担が増加しています。現在、9カ国が債務不履行のリスクを抱えており、11カ国が高リスク状態にあります。
3) 地政学的リスク
スーダン、エチオピア、リビアなどでの紛争が経済成長の妨げになっています。さらに、西アフリカ地域では政情不安が続いており、外国投資の減少を招いています。
4) 気候変動の影響
気候変動による異常気象が農業生産を圧迫し、食料価格の高騰を招いています。特に、干ばつと洪水が同時に発生するリスクが高まっており、持続可能な農業政策が求められます。
持続可能な成長のための政策提言
1) 短期対策(2025年まで)
インフレ抑制:引き締め的金融政策を維持し、物価の安定を図ります。
財政健全化:税制改革を進め、無駄な支出を削減します。
2) 中長期対策(2026年以降)
インフラ投資の促進:輸送・エネルギーインフラの強化を進めます。
産業の多様化:一次産品依存からの脱却を目指します。
教育・技術開発の強化:デジタル技術の普及と職業訓練を強化します。
アフリカ経済の未来を切り開くために
アフリカは2025年以降、世界で2番目に成長が速い地域となる見込みですが、依然として多くの課題を抱えています。
本レポートでは、適切な政策を実行し、持続可能な成長を実現するために、各国政府と国際社会の協力が不可欠と結論づけています。
本レポートに興味のある方はこちらからダウンロードいただけます。
また代表noteにて『2025年のアフリカ経済はどうなる?主要データから読み解く未来!』と題して、本レポートを元にアフリカビジネスの可能性とリスクを整理し、どのようにこの市場に参入すべきかを考察した記事を掲載しています。こちらも併せてご覧ください。
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