2023年のアフリカスタートアップによる調達額は約32億ドルと、去年の50億ドルから36%減少したとTech Chabalが報じました。
調達額の集計方法や定義は各機関で異なるものの、アフリカスタートアップ関連情報を届けているDisrupt Africaでも継続的に低調な資金調達の様子が報じられてきたため、アフリカスタートアップ界隈で資金調達が縮小していることは間違いないでしょう。
アフリカスタートアップによる資金調達はコロナ禍が襲った2020年を除けば基本的には右肩上がりに成長、拡大してきました。それでは、今回の調達額減少をどのように捉えるべきでしょうか?
世界中で低調な資金調達
世界のスタートアップ投資額の約半分を占める米国では、2023年のベンチャーキャピタル(VC)などの投資額が前年比3割減の1706億ドルと、2年連続で減少しました。
TechCrunchは2023年に欧州のスタートアップによる資金調達が450億ドルと、前年の約半分の留まる見込みであると報じており、世界中で投資額が減少しています。
2022年のアフリカスタートアップ界隈ではグローバル市場の中でも資金調達を増額した同地域の市場の潜在力をアピールする声もありましたが、今年の低調な資金調達は世界中でスタートアップへの投資が控えられた影響が大きいでしょう。
特にアフリカ市場は潜在力が認められつつも、同時にリスクが高いと認識されがちな市場です。そのため、国際情勢やマクロ経済が動揺した際には、資金の流れが途絶えやすい傾向があります。
地域・国別に明暗分かれる
次にアフリカの地域別調達額を見ていきましょう。昨年は北アフリカのスタートアップが10億7400万ドルを集め、アフリカスタートアップ市場における資金調達をリードしました。
また、アフリカの調達額上位4カ国では合計23億7000万ドルを調達しましたが、国別ではケニアが7億5,620万ドルで首位に立った一方、域内最大の経済大国であるナイジェリアではわずか3億9,820万ドルで最下位でした。
2021年以来、毎年10億ドル以上を調達してきたナイジェリアにとって、これは大幅な減少です。現地メディアによれば、2023年に現地を拠点とする主要なスタートアップ9社が破綻したため、6千万ドルが国内市場から流出する可能性があると報じています。
これらのスタートアップには、アフリカ人向けの遺伝子解析サービスを提供して注目を集めた54geneやグーグルの支援プログラムに選出されたOkada booksも含まれています。破綻の主な理由は、追加の資金調達ができず、事業継続が困難であったためとされています。
逆境も期待も継続する
外部からの資金調達によって短期間で急成長することがスタートアップの成長モデルですが、資金調達が困難になるとそれだけ破綻するリスクは上昇します。昨今の不透明な国際情勢、マクロ経済の先行きは大きな逆境として、スタートアップが乗り越えなければならない課題となるでしょう。
同時に、ユニークな挑戦が続々と誕生するアフリカスタートアップ市場に向けられる期待度は高まっています。特に、喫緊の対策が必要とされる気候変動関連の分野では新たな現地投資ファンドが次々と組まれており、世界で最も気候変動の影響を受ける地域であるアフリカから先進的な取り組みが生まれるのではないかと注目する投資家もいます。
向かい風の中で、多くのアフリカスタートアップが成長し、革新的な事例を生み出せるかに注目したいですね。
(イメージ画像はUnsplashより。©Musa Dhlamini)
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