世界的な景気の減速や不確実性が高まったことを反映し、2023年のアフリカスタートアップ市場でも落ち込みがみられました。発行機関によって差はあるものの、データトラッカーによればアフリカのスタートアップが調達した金額を、2022年の46〜65億ドルから、29〜41億ドルへ減少しました。
しかし、悪いニュースばかりではありません。フランス語圏のアフリカなど、これまであまり投資が進んでいなかった他の地域で資金調達件数が増えており、従来のBIG4(エジプト、ケニア、ナイジェリア、南アフリカ)を超えて開拓することで、リスクを分散しようとする動きが見られました。
このことは、アフリカスタートアップ市場が、これまで注目されてこなかった国・地域にも拡大し、成熟してきている様相を呈しています。
以下ではTechCrunchの記事に準拠しつつ、2023年の同市場を振り返ります。
BIG4は依然として巨大
米国の投資会社であるパーテック社によると、BIG4である南アフリカ(5億4800万ドル)、ナイジェリア(4億6800万ドル)、エジプト(4億3300万ドル)、ケニア(3億3500万ドル)が市場で存在感を示しており、2019年以降初めて金額ベースでシェアを伸ばし、エクイティ資金調達総額の79%(2022年は72%)を占めます。
しかし、調達件数ではシェアを落とし、全体の68%(2022年の77%から減少)にとどまりました。
調査会社であるブライターブリッジ社によれば、資金調達先としての地位をさらに確立しており、この傾向は近隣諸国に進出する企業の地域的ハブとしての役割によってさらに強化されている指摘しています。
新興市場としてのフランス語圏地域
流石の存在感を発揮するBIG4ですが、2023年市場にみられる特徴は、フランス語圏市場での調達が拡大したことです。
パーテック社によると、アフリカスタートアップ市場のトップ10は、BIG4を除けばモロッコ(9,300万ドル)、コンゴ民主共和国(4,200万ドル)、ルワンダ(3,800万ドル)、チュニジア(3,300万ドル)、セネガル(2,700万ドル)など5カ国がランクインしました。
ブライターブリッジ社はチュニジアやルワンダのような国々はビッグ4の資金調達レベルに急速に近づき、著名な投資先となっているとしています。この急増は、ジップラインやインスタディープのようなスタートアップへの多額の投資や買収案件が後押ししていると指摘します。
また、ブライター・ブリッジズ社の創業者であるダリオ・ジュリアーニ氏によれば、投資家の地域分散は、アフリカ市場が成熟していることの表れであるとしています。フランス語圏のような新興市場への投資はよりリスクが伴いますが、市場機会を認識した上で、そこに儲けがあると指摘し、市場の成熟に伴い投資家の思惑も多様化しているようです。
この1年で、サビューやシードスター・アフリカ・ベンチャーズのような新しいファンドが設立され、特にフランス語圏のアフリカなど、比較的未開拓のVC市場の新興企業に焦点が当てられています。
これまで比較的注目を浴びにくかったフランス語圏市場ですが、今後はさらに話題を集めることでしょう。
(イメージ画像はUnsplashより。©️Desola Lanre-Ologun)
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